なぜ TrueNAS にするか

FreeNAS が 11.3 系を最後に、
12.0 より TrueNAS CORE にリブランディングして、もうすぐ2年が経過することになりそうです。
TrueNAS CORE はすでに 13.0 系が登場しています。
Debian Linux ベースの TrueNAS SCALE も登場していますが、ここでは主に TrueNAS CORE を前提にしています。

ここであらためて、
今 TrueNASを検討している人に向けて、「なぜ TrueNAS にするか」を整理してみようかと思いました。
なお、ここでは一線を退いた中古パソコンなどをベースにして TrueNAS CORE でNASを構築する前提としています。
TrueNAS には TrueNAS Mini などのハードウェア売りされているものもあります。保守契約も含め、iXsystems のビジネスとしてはそちらが本業かと思いますが、日本のAmazonなどでは取り扱いがないのであまり一般的な選択肢ではないと思います。
(上記リンクより Amazon.com では入手できるかもしれませんが、日本在住の場合あまりメリットはないのではと。法人の場合はサポートも含めどこか代理店経由で調達することになるかと思いますが)


TrueNAS のNASとしての基本機能として

ZFSによるRaidのおかげで特殊なハードウェアを用意しなくても冗長化が可能(反対にハードウェアRAIDの機能は無効にしておくことが望ましい)
ZFSのコピーオンライトの機能でデータが壊れにくい
少し古めのパソコンなどで自作パーツなどを利用して構成が可能。
FreeBSDベースだが、GUIベースで操作する分にはあまり意識する必要がないので馴染みがなくても大丈夫(Linux ベースの TrueNAS SCALE も出ていますがここでは割愛)


クラウドストレージに対して

手元にデータがある
突然容量制限されたり、突然有償化されたりするリスクがない
どれだけのストレージを構築するかはおサイフ次第で無限(?)
(無料版の「TrueNAS CORE」は)定額課金がない
スループットがインターネット接続速度に影響されない(ローカルのネットワークスピードいっぱいまで出るような構成が容易)


市販のNASアプライアンスに対して

一般的なNAS製品に対して、マシンの負荷などをUIで確認できる(あるのもあるのでしょうが)
システム構成のバックアップファイルと稼働に必要な数のディスクが残っていれば、現在の環境が起動しなくなっても新しいハードウェア上に環境を構築してその上に復元が可能
新型が出てくると旧型のサポートはどんどんなくなっていくのに対し、TrueNAS はハードウェア要件を満たしていれば最新を追いかけることが可能
ディスクの故障以外は基本的には本体買い換え(モデルが変わると既存のディスクを移植して稼働を再開できる可能性は低い)になる一般的なNAS製品と異なり、パーツが自作パソコン用で調達できる
少し古いパソコンベースでも、十分なCPUパワー(NAS製品で高速なCPUと書かれていてもパソコンのCPUほどではないことがほとんど)
インターネットからアクセスできる機能に関しては、インターネット側の部分も提供される市販品の方が手っとり早いです。(インターネット側から自宅のNASの共有フォルダにアクセスしたり、スマホのアプリ等で、自宅のNAS上の写真を見たり)


ルーターの簡易NAS機能に対して

ユーザー管理や、バックアップ、冗長性などが確保できるので、ルーターの簡易NAS機能に比べると
基本的な NAS としての堅牢性の時点で段違い。
性能も全然違う。
ルーターのはあくまでも「簡易」NAS。


Windows 11のパソコンのファイル共有などに対して

共有フォルダを提供しているパソコン自体を起動しておく必要がない
Windows マシン自体のための性能を担保すると、共有フォルダを提供するにはパワーが過剰になる
OSのオーバーヘッドが少ない分、転送速度がギリギリまで出る
メモリをありったけキャッシュに活用してくれる
ユーザーや共有フォルダを管理するのに対象のパソコン自体を操作する必要がない


Linux などで共有フォルダを構成することに対して

NAS向けアプライアンスなので、NAS用途で構築する場合の手間が少ない
Linux 自体の構築・運用の知識・手間が必要にならない
反対にNASとしての機能以外のことをしようとしてプラグインでなんとかならない場合はLinuxサーバー立てた方が手っとり早いです。


中古サーバーなどに対して

OS として TrueNAS を使うという選択肢もあるのである意味同類。
なお静音性や省電力などが逸般の誤家庭向け(笑)。
また、RAIDカードなどの機能は意味がなくなるが、
もともとインストールされているOSだと保守契約とか必要だったりするので、無償で構築できる TrueNAS として第二の人生を歩ませてあげることもアリかもしれません。


他のNASアプライアンスOSなどに対して

好みだと思います。
TrueNAS CORE は FreeBSD をベースにしているので最新のハードウェアへの対応が遅い傾向があり、少し枯れたハードウェアを利用する分には問題ありませんが、最新のハードウェアで構築する場合は、
TrueNAS SCALE や他のNASアプライアンスの方がいいこともあるかもしれません。



なお、2年位前に FreeNAS で同様のことをまとめた記事

なぜFreeNASにするか

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2022年08月08日 14:33に投稿されたエントリーのページです。

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