「TrueNAS のブート用デバイスを交換する(環境のバックアップとリストア)」の TrueNAS SCALE 版のリクエストがあったのでまとめておきます。
なお、UIの変更に伴う画面の展開や、メニューの名称が微妙に違うだけで、大まかな流れに違いはありません。
出番としては、
・TrueNAS SCALE のアップデートを適用したら起動しなくなった
・USBメモリの異常かWeb GUIが応答しなくなって、操作できなくなった
・ミラーしているブート環境の片方を交換したいが容量が小さくなるのでそのままでは交換できない
・TrueNAS CORE から USBメモリで BIOS ブート環境で運用していたが NVMe の SSD からUEFI ブートに変更したい
・ハードウェアを変更したが、元のブートドライブからは起動できなくなった
とかかなと。
致命的な設定変更の操作ミスをした場合には以前の環境に戻す目的でやっても意味がないかもしれません(あるいは逆に設定変更後との不整合を引き起こすだけかも)。
元の環境が起動しなくなっている場合は、最後のアップデートの際などに保存した環境設定ファイルを使うわけですが、
元の環境が動作している場合は作業前に最新の環境設定ファイルを保存しておきます、
System > General Settings
Manage Configuration > Download File
警告:設定ファイルには、システムパスワードなどの機密データが含まれています。ただし、/root/.sshに保存されているSSH鍵は、この操作ではバックアップされません。追加の機密情報を構成ファイルに含めることができます。
■ Export Password Secret Seed
にチェックして
(チェックしないとパスワードが復元されないので、システムのバックアップ用には必ずチェックを入れる)
Save
パスワードシークレットシードを含めると、この設定ファイルを新しいブートデバイスで使用できるようになります。これはまた、設定ファイルがアップロードされたときに再利用できるように、すべてのシステムパスワードを復号化します。
設定ファイルを安全に保管し、不正アクセスから保護します!
(この設定ファイルを当該TrueNAS上に保存したりしても意味がないので注意)
Chome の場合、
「安全でないダウンロードがブロックされました」
と表示されるので
「保存」
をクリックしないと保存されないので注意。
保存されました。
きりしまはSSH接続を使っていませんのでやらないですが、
/root/.ssh
にあるSSHキーは別途バックアップが必要らしいですので、使っている方は別途ダウンロードして後でアップロードするような対応が必要ではと。
シャットダウンして、必要なハードウェア変更を行います。
新しい環境に TrueNAS SCALE をインストールします。
インストール手順も基本的には新規インストールの手順のままです。
(参考)
TrueNAS SCALE 24.10.0.2 のインストール
(続くセットアップの手順は原則不要)
テスト環境では、 Proxmox Virtual Enviromant の仮想マシンで、先ほどの環境の入っているsde の zfs-"boot-pool" にインストールしていますが、
ここは新しいデバイスとかを間違いなく選択することに注意。
画面のように同容量のシステムってことはないと思うので、
ディスクのサイズなどで見極められるとは思いますが…。
新しい環境が起動しました。
ログインさえできればいいので、元のマシンとIPアドレスが違ってても、別に構いません。
(IPアドレスもリストアすると元々のIPアドレスが設定されます)
何も設定せず、
System > General Settings
Manage Configuration > Upload File
アップロードされた設定ファイルが Password Secret Seed なしで保存されている場合、全てのパスワードはリセットされます。
(のでバックアップは習慣的にチェックを入れておいた方が)
Choose File から復元したい環境設定ファイルを指定して、
Upload
ごく短時間のファイル転送のあと、
再起動に入ります。
再起動後は環境のマイグレーション処理のため、通常より時間がかかることがあります。
TrueNAS SCALE は GUI にアクセスできるようになるまでわりと時間がかかる印象ですので、
コンソールを確認して進行状況を見てた方が不安は少ないかと思います。
(エラーみたいな表示も流れていきますが、処理が止まるわけでなければいいのかなと)
しばらくして起動が終わったら、無事設定が反映されているか確認してみてください。
コンソールを確認すれば分かりますが、IPアドレスを固定していた場合などは、そのIPアドレスが復元されていますので、アクセスするのもそのIPアドレスになります。
(別のハードウェアでリストアしている場合はインターフェース名の対応が違ったりするとこの限りではないかも)
リストア完了。
無事設定が反映されているか確認してみてください。
元の環境で作成したユーザーや、
暗号化しているPoolなどが元通り認識されて、
設定されていたDatasetや共有フォルダ、そのアクセス権なども元通り、
共有フォルダに保存されていたデータなども無事なのか、とか。
#TrueNAS SCALE のアップデートの際にバックアップを求められるので、横着せずに、Secret Seed も含めて毎回バックアップしておくといいでしょう。
設定変更したりしたときにもバックアップしておけるといいんだけど忘れがちなので、アップデートをマメに行う(その際にバックアップする)か、設定ファイルのエクスポートを自動化するか、ですかね。