TrueNAS 用のハードウェアを用意する

TrueNAS 用に新しく(?)ハードウェアを調達するにはどのぐらいかかるのか、ちょっと考えてみました。

ハードウェアの選び方などは
TrueNAS 12.0 のハードウェア要件

少し前に検討したMini-ITXをベースに小型で構成する内容なら
TrueNAS 12.0 用のハードウェアを考えてみる
も参照してみてください。
(なんかちょっと古くなるとAmazonでは値付けが高くなるので、時折更新してきっちり現行で調達しないと、ってことで今回見直しています)

今回はコスト最優先で検討してみます。
(中古パソコンでTrueNASを構成する場合、どのぐらいの金額まで許容できるのかの参考に見繕ってみただけで、実際にコレで組んだわけではないのでご注意ください。なんか見落としててここで見繕ったパーツで TrueNAS が動作するように組み上がらなくても苦情はコメントで指摘するだけにしてください。最新すぎるパーツでは TrueNAS が動作しないなんて可能性は十分考えられます)


まずは、基本になるのは、Amazonの新品パーツで最小構成からでしょうか。

Amazonの新品パーツで自作構成

Amazonが販売する商品から選んでみます。

CPUは2021年8月現在だと、


Intel CML-S Celeron G5905 / 3.5GHz 2C / 2TH 4xxChipset BX80701G5905 【 BOX 】

Celeron G5905 から始めてみますかね。少し前に有力な候補だったAthlonは何か高い。
TrueNAS は仮想マシンとか使わずにファイル共有とか最低限の範囲ならばそれほどマシンパワーは必要ありません。
また、仮想マシン等を動かす場合は、クロックを上げるよりも多コアのCPUにしたほうが費用対効果は高くなりそうです。
なお、NASキット等のCPUはパソコン用のCPUに比べてかなり貧弱なものが使われているので、本当はATOMベースのCPUオンボードのマザーボードなどでもそれらより十分パワフルで、なおかつ一般的なパソコン用のCPUより小電力で低騒音で組めるのでいいかと思うのですが、今はちょっと妥当なモデルがないみたい。

Celeron G5905 の Passmark は 2846。2C2T

一世代前(?)の
Celeron G4900 は 2430 2C2T

中古を調達する参考に、上位グレードのCPUで Passmark の数字が近い世代をざっと見てみると

Pentium G4400 が 2596 2C2T
Pentium G4560 が 3516 2C4T
現行だと
Pentium Gold G6405 が 4393 2C4T


INTEL CPU Pentium Gold G6405プロセッサーBX80701G6405 日本正規流通品

Core i3-3220 が 2162 2C4T
Core i3-4130 が 3256 2C4T
現行だと
Core i3-10105 が 9007 4C8T


Intel CPU Core i3-10105 3.7GHz クアッドコア LGA1200 プロセッサー BX8070110105 【 日本正規流通品 】

Core i5-670 が 2483 2C4T
Core i5-2400 が 3822 4C4T

Core i7-870 が 3056 4C8T

という感じなので、新しいローエンドのCPUかなり強い。
Passmark が TrueNAS に必要なスペックを適切に示しているか、という点では疑問もあるけど、様々なモデルを比較するには鉄板かと。

ちょっと脱線しましたが、次はマザーボード。

Mini ITXは割高になるので、とりあえずMicro-ATXで。
LGA 1200のマザーボードは、
4xx世代のチップセット搭載のマザーボードで、今のところ若干安いのもありますが、すぐ調達できなくなりそうなので、今回の例としては5xx世代搭載のマザーボードでピックアップしてみます。

TrueNASに使うのでオンボードのLANはIntelのヤツがオススメ。Wi-Fiはどうせ使いませんので価値観に含めません。

あとは、メモリソケットの数と、SATA端子の数、でしょうか。
SATAカードで増設できるという考え方もありますが、それだけで3000円程度かかります。
1ポート1,000円ぐらいの価値はあるかと。


ASUS Intel B560 第10世代・11世代 CPU 対応(LGA1200)対応 B560チップセットMicroATX マザーボード PRIME B560M-A 【国内正規代理店品】

メモリスロットが4本、
M.2 x2 SATA x6 でちょうどいい感じ。

メモリは最小構成で、SMB共有のみ、家庭程度のアクセス量なら8GBで十分かと思いますが、
後で増やそうとしたときに4GBx2がスロットを埋めていると邪魔なので、8GBx1かとも思いましたが、増設するときに組み合わせが面倒なのと、あまり節約にならないので 8GBx2 の 16GB。
増やしてもキャッシュにしかなりませんが、キャッシュが不足するとパフォーマンスががた落ちなので、その辺は用途とお財布と相談で。


KLEVV デスクトップPC用 メモリ DDR4 2666 PC4-21300 8GB x 2枚 16GB キット 288pin SK hynix製 メモリチップ 採用 KD48GU881-26N190D

個人的にはヒートスプレッダのついているモデルとかにしたいところですが。

ケースはとりあえず3.5インチシャドウベイを4台は備えているものを探してみます。
なかなか探しにくいので、こういうときは
価格.COMの
PCケース スペック検索
から当たりをつけるといいと思います。


Corsair Carbite 100R Silent ATX対応ミドルタワーPCケース CS5332 CC-9011077-WW

剛性はあんまりないらしいですが、3.5インチシャドウベイx4、5インチフロントベイx2あるので、まあまあ及第点かと。惜しいのはフロントファンが3.5インチシャドウベイのところに移動してつけることはできなさそうなのと、それなりにウルサイファンのようです。3.5インチシャドウベイに風を当てたい場合は、12cmの薄型のファンを用意する必要がありそう、ということでしょうか。


あとは、3.5インチシャドウベイを8台備える


Antec ストレージ性能を高めたATX対応サイレントミドルタワーPCケース「P101 Silent」 BLACK


Fractal Design Define R5 Black Pearl PCケース CS4987 FD-CA-DEF-R5-BK

などはTrueNAS用途としたら常に検討候補でしょうか。
3.5インチシャドウベイの配置と、ディスクを交換・増設する時を想定した構造、また、効率的にハードディスクに風を当てるような構造になっていること、
常時稼働を考慮するならそれなりの静音性、
そして大きさと重さ、といったところでしょうか。
サイドパネルがシースルーになっている必要性は全くありません。静音性が犠牲になったり、内部の光が漏れたり、割れたりすることを考えると積極的に避けるべきかと。
P101は持ってないのですが(W232×D527×H506mm、11.8kg)、Define R5はデカくて重いです(W232×H451×D521mm、11.2kgらしい。スペック的には似たり寄ったりか)。ハードディスクを満載している状態で持ち上げようとするとちょっと絶望感が漂う。ハードディスク1台630gとして、8台で約5kg。ヘタすると20kg近くになるかも。

電源ユニットは大がかりにグラフィックスボードや高速なCPUを使わなければ適当に何でも足りるはずです。
SATA電源のコネクタが足りない場合は分岐してもいいでしょう。


玄人志向 電源 KRPW-BKシリーズ 80PLUS Bronze 550W ATX電源 KRPW-BK550W/85+

私は玄人志向の電源で痛い目に遭っていないので、価格とプラグインケーブル採用のこちらで。
4ピンのペリフェラルやPCI Express の電源コネクターを使わないことで配線を少なくできます。
変換効率が良いと電気代もそうですが発熱が抑えられるので、それなりに意味はあると思います。

起動用のSSD


シリコンパワー SSD 128GB 3D TLC NAND M.2 2280 PCIe3.0×4 NVMe1.3 P34A60シリーズ 5年保証 SP128GBP34A60M28

NVMeで64GB以上で安ければなんでもいいかと。
(64GB以上あると、起動ディスクにスワップが作れます)
スピードはデスクトップパソコンと違って直接触らないのでほぼ体感できないはずですので、テキトーでいいでしょう。デスクトップパソコンだとスピードが下がるので128GBとか避けたくなりますが、ここはコスト最重視で。容量増えても使わない起動環境の保管スペースにしかならないと思います。ZFSのアップデートするとそれ以前のバージョンには戻れなくなるので、たいていの場合、そんなに古いバージョンの起動環境を保存しておく意味がありません。
信頼性は数値化が難しいのですが低速なモデルの方が低発熱かも。
まあお好みのメーカーにしたらいいと思います。
ひとまず予算には入れていませんが、ヒートシンクをつけてもいいかもしれません。


ストレージ用のHDD


Seagate IronWolf 3.5" データ復旧3年付 8TB 内蔵HDD(CMR) 3年保証 24時間稼動 PC NAS 用 RVセンサーST8000VN004


【Amazon.co.jp限定】Seagate BarraCuda 3.5" 8TB 内蔵ハードディスク HDD 2年保証 6Gb/s 256MB 5400rpm 正規代理店品 ST8000DM004

とりあえず、新規に構成するなら、まずは2台のミラーでいいのではと思いますが、その辺は使いたい容量に応じて用意すればいいと思います。
なお、頻繁にアクセスして書き換えするならCMR(SeagateだとIronWolfシリーズ)、保管用で書き換えをあまりしないならSMR(SeagateだとBarracudaシリーズ)でもいいと思います。Barracudaシリーズだと4TB→8TBのお買い得感が薄れますね。
費用対効果が高くても、そこまで使わないのなら持ち腐れですし、4台でRaid Z2などの構成にするなら、当面は手持ちの使い古しのハードディスクでもいいかもしれません。それこそ、メインPCのハードディスクを交換してお下がりを使っても。

なお、ZFSは80%以上の容量を使うと警告してくるので、その分の余裕を見て容量設定をします。
8TBx2のミラーだと、容量効率50%の80%なので、6TBちょっとの保管容量ということになります。

キーボード・ディスプレイ

主にセットアップ時や故障時ぐらいしか用がないはずなので、メインのパソコン用のを一時的に接続して使えばいいと思うので調達しません。

マウス

直接接続するマウスは不要です。普段の管理は別PCからブラウザ経由ですし、セットアップ時にもキーボードで十分です。UEFIなどの操作に使いたいぐらいならメインのパソコンから一時的につなぎ替えれば十分です。

OAタップ・UPS

雷サージプロテクタのあるタップやUPSなんかはあってもいいかもしれませんが、最小構成を検討しているのでひとまずよけておきます。

とまあこんな感じで、

部位 パーツ 価格
CPU Celeron G5905 5,500
M/B ASUS PRIME B560M-A 11,692
メモリ DDR4 2666 8GB x 2枚 7,780
ケース Corsair Carbite 100R Silent 5,939
電源 550W 4,948
SSD NVMe 128GB 3,362
    39,221
HDD IronWolf 8TBx2 42,858
    82,079

ハードディスク以外で約4万円、
SeagateのNAS用HDD IronWolf 8TBx2の構成で8.2万円というところでした。
あとはお好みでパーツを変更した分高くなる感じで。


中古パソコン

CPUパワーはさほど必要ないので、中古パソコンでも問題ありません。
ただ、故障時のメンテナンスを考えると、メーカー独自のパーツでないと交換できないモデルは避けた方がよさそうです。

内部構造などをよく確認し、マザーボードや電源が自作パソコン用パーツと置き換えできるようなもの、SATA端子の搭載数などを重視して選ぶといいでしょうか。
もちろん、最小構成ならハードディスクが2台載ればいいので、スリムデスクトップで5インチベイの光学ドライブをHDDマウンタにすれば、とりあえず何でも3.5インチハードディスクが2台載りますね。
または、3.5インチベイに2.5インチを2台搭載するマウンタを使う、とかですかね。

また、TureNASはディスクの搭載量がモノを言うので、ミニタワー型を選んだり、それこそケースだけ新規調達してパーツ一式移植とかもアリでしょう。

そういう意味で上記新品パーツでの構成と見比べて、ケースと電源は改めて調達しなおすつもりだとすると、一式25,000円程度で調達できるようならペイするかも知れません。

CPUパワーなどはあまり影響ないですが、搭載されているメモリの量が少ないとイマドキDDR3メモリなどを調達しなければならないので、構成には注意が必要です。そしてDDR3メモリだからといって別段安くないという。

あんまり魔改造するなら一式新調した方がマシ、というのがよくあるパターンでしょうか。


他作パソコン

ハードオフやヤフオクなどにある他人の組み立てた自作パソコンなどは、メモリ搭載量の多いものがあったり、ストレージの搭載数の多いケースが採用されていたりしてそういう面ではいいと思いますが、CPUパワーが必要ないとなるとあまり価格メリットはないかも知れません。
大抵はそれなりにパワフルなCPUを積んでる構成になっているような気がします。


中古サーバー

中古パソコンではなく中古「サーバー」なども使えることと思います。
メモリ搭載量が多かったり、ストレージの搭載可能数が多かったり、最初からハードディスクを多数積んでいたりすることもあると思います。
なお、TrueNASのZFSを活かすには、サーバーに搭載されているハードウェアRAIDの機能を無効化しておく必要があったりします。
なお、ハードディスクを増設しようとすると専用のマウンタが必要だったりすると、かえって高くつきかねないですね。


格安サーバー

いわゆるサーバーのうち、破格のモデルであれば、新品を個人で購入して、必要な追加部品を組み込めば元がサーバー向けハードウェアなので使い勝手のいい構成になったりすることもありましたが、
最近は妥当なモデルがないと思います。
それと騒音の問題も無視できないと思います。
逸般の誤家庭の場合は好きにしたらいいと思います。


仮想マシン

メインのパソコンの仮想化機能を使って仮想マシンで構成する場合、ハードウェア的な堅牢性が全く発揮されませんので、あくまで操作方法の確認や、設定の練習とかのレベルになるかと思います。
TrueNAS は物理マシンで構成してこそだと思います。
ESXi上で仮想マシンを構成して、ディスクはパススルーで物理ディスクを複数台丸ごとマウントするから大丈夫、とかいう人は好きにやってください。


メインのパソコンを更新してお下がりを使う

冒頭のパーツセレクトを見てると
「もうチョイお金出せばメインPC更新した方がいいじゃん」
と思う方も多いと思います。

そうです。メインPCを更新して、お下がりを TrueNAS に回すのが TrueNAS CORE のハードウェアを用意するFAです。
現在お使いのパソコンが自作PCの方は、ケースだけ TrueNAS 用にストレージの搭載数の多いものを用意すればすんなり行けると思います。

これで、メインPCもパワーアップして、 TrueNAS 用のハードウェアも確保できる、まさに Win-Win ですね。

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2021年08月14日 11:25に投稿されたエントリーのページです。

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