ドコモの特効薬

ドコモの株主総会の記事を見て、ogohさんが提案している。


株主からドコモへの質問で、会場から同意の拍手を多く得たのは、「緊迫感が足りないのではないか」という内容のもの。

NTTドコモ、第14回定時株主総会を開催――「確かに“特効薬”はないが……」

ユーザーが不満を訴えても、ドコモは堪えないという雰囲気が強い感じがする。



昔は、ケータイの電波が入らないときは、ドコモの窓口に言うと、あたかも、
「次に配備するアンテナの計画の参考にさせていただきます」
という雰囲気で受け付けてもらえたが、
半年ぐらい前では、
「現在はムーバのアンテナの新規配備は行っておりませんので……」
とやる気のなさ全開。
一応、FOMAのカバーエリアを広げるのに全力を注いでいるようなことを言っていたが、FOMAに至っては遙か手前から圏外なので、お話にならないのである。

事情はわかるが、どのメーカーのケータイも入らないようなエリアは、競争になりえないから不要、という雰囲気は、この「緊迫感のなさ」というものの一端をかいま見たような気がします。


確かに“特効薬”はない。携帯電話の世界は、ADSLの世界と違って、安ければいいというものではない。まずネットワークの品質だが、どこからでも繋がるということが求められている。端末も、デザイン/機能/性能が受け入れられなければならない。料金も然り。コンテンツも然り。これをもう一度見直してみようということで、今やっている最中。

NTTドコモ、第14回定時株主総会を開催――「確かに“特効薬”はないが……」

確かに、短絡的にこうすれば他社との差別化ができる、という要素は、ない。
ogohさんはこう考える、


特効薬はズバリ、ケータイはネットワーク端末のひとつ、
という明確な方向性を打ち出すことではないか。
簡単に書くと、パケット従量という利権を、
とっとと手放すことではないだろうか。
ケータイはもはや、従来の電話に取って代わろうとしている。
しかし、従来の電話とケータイが違うところは、
ネットワーク端末として用いられている部分である。
利権を手放して得るものこそが、特効薬ではないか。
副作用なしに、特効の薬などという都合のいいものは得られない。

penfactory.net: 追われる身#NTT DoCoMo株式総会の1コマより#

ですが、私は、ケータイ事業が、いわゆる商売である以上、ビジネスとしての「利権」は手放して考えるワケにはいかないのではないか、と考えるところからスタートしてみたい。

パケット従量制を放棄して定額制に移行しても、じゃあドコモを使おうか、という話にはならない。

なぜドコモを使うのか、それはドコモでなくてもかまわないのだけれども、それを見直していくことが大事ではないかとおもう。

ドコモのユーザーには、月数万のパケット代を支払ってくれるユーザーもいる。

同じキャリア同士であれば、メールの文面も華やかになるので、求心力のあるユーザーがいれば、その家族、恋人、友人にまで、同じキャリアが浸透していく。

向かいの席に座っている女の子に至っては、彼氏が変わると、新しい彼氏の使っているキャリアのケータイに変えるそうだ。まあ、別れた彼氏の知らない番号に乗り換えられるし、それはそれでアリかな、と思うのである。

ケータイのユーザーには、いわゆる「携帯電話」として考えているユーザーと、「携帯メール端末」として考えているユーザーと「携帯ウェブブラウザ」として考えているユーザーと、「その他の機能の端末」として考えているユーザーと、様々に存在しているはずで、それは一緒くたにとらえることはできないはずなのに、あれもこれもとらえようとして、パッとしないものにまとまろうとしているのではないかと思うのである。

どのユーザーが一番パケット代を払ってくれそうなのか、パケット代で稼ごうとするなら、そのユーザーをターゲットにするべきだし、
ほとんど遊んでる(利用しない)ケータイの基本料金で稼ぐのなら、定額制などでだまして基本料金の底上げを図る手もあるだろう。

ただ、自分がドコモユーザーになったときは、他のキャリアとは比較にならないサービスエリアであったことが第一で、料金が高くても、本体が高くても、音質が悪くても、選択したのである。

ただ、そういう人口の少ないエリアへ行く必要のある人間は限られていることと、ビル内、地下街、地下鉄などでは勢力図が異なることから、ユーザー数では、設備にかかるコストの割に儲からないのではないか、と思うのである。

なんだかよくわからない似たようなケータイをラインナップするのではなく、十把一絡げに言われている「ケータイ」を分化させることが、「緊迫感を持ってやっている」ということではないかと思うのである。

そうでなければ、大差ない機能の大差ない形のケータイが各社から出ている現状から大きく変わらないのではないか、思うのである。

かくいう私は、現在ドコモのSO506iCを使用していて、音楽・動画プレイヤーとして、PSPを使用し、デジカメはDSC-U20を持ち歩いている。しかし、これらが合体したような機械ができても、合計金額のような価格ではさらさら買う気になれないし、PSP単体でとらえても、ゲームしながら別の音楽をBGMに流すということもできないので、ゲーム中に電話がかかってきたらどうするのか、とか考えると、そういう最大公約数的な機械はいらないと思うのです。

自分は通話時間はたいしたことないし、パケット代もツーリングのときの掲示板利用ぐらいなのでたかがしれています。
そんなユーザーにとって大事なのは、

カバーエリア

に限ります。

液晶がデカイ必要もないし、ムキになって小さく薄くする必要もないし、音楽が再生できる必要もないし、デジカメがキレイである必要もない。

いろいろやれば緊迫感を持っていることになる、というのは大間違いで、
「他社とは異なり、これに力を入れるので乗り換えてください」
というくらいの意気込みがなければ、緊迫感を持っていない、と評されても仕方ないのではないか、と思うのです。

先に引用した発言の中にある、

・どこからでも繋がる
・料金

についてはよい方のベクトルが決まってるので簡単だが、

・デザイン/機能/性能
・コンテンツ

に至ってはそれをどうするかがなければ何もしていないのと同じではないか、そういう気がしてならないのです。

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2005年06月22日 10:14に投稿されたエントリーのページです。

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